- 05:15
- 駐車場〜マチガ沢
いつもの谷川岳
繁忙期のロープウェイ駐車場は朝7時(実際は6時半)から開場とのことで、臨時の無料駐車場に駐車
暗闇の駐車場からは、ガチャガチャと、我々以外にも登攀の準備をするパーティーの音がする
駐車場を出発時につけていたヘッデンもマチガ沢へ入るころには必要なくなるほど、空があかるくなっていた
谷川岳の紅葉はだいぶ下まで降りてきてて、これからの登攀を前にひとときの癒し
マチガ沢から巌剛新道へ
終始日陰なので、ぬめぬめして歩きにくい
あまだいが歩いた後なのか!?
- 05:55
- マチガ沢〜第1見晴し台
巌剛新道をしばらく歩くと日の出を迎える
天気は上々
紅葉もさらに赤く照らされて、雲の不思議な射影が、マチガ沢を幻想的に映し出す
紅葉にそまるマチガ沢
眼下に白くみえるのは、大滝
ここから見ると小さくて簡単に登れそうに見えるが、実際はデカくてびびる
第1見晴し台にて登攀準備
事前情報だと「第1見晴」とか書かれた木の道標が立っているはずだったけれども、今はなし
ただし、マチガ沢に降りていく明瞭な踏み跡があるので、ここが第1見晴し台だとわかる
他にも東尾根の登攀をするパーティがいて挨拶した
- 06:45
- 第1見晴し台〜シンセン沢
前のパーティもいたので、続く形でマチガ沢へ降りていく
時間にして5〜10分も歩かない
ただし泥の急斜面で、ところどころ危ないので、木をつかんで安全に下降
先に行くパーティがだんだんと小さくなっていく
急斜面を下りつつ、マチガ沢を登る形にトラバースして沢へ降りる
この時期、沢は水が流れているものの、アプローチシューズでも十分歩くことが可能だった
ただしジャボンなポイントもあり
大滝に到着
事前に調べた限りでは、大滝は右から登攀すると書いてあったけれども、パーティそれぞれのルートでクリアしていく
我々は事前情報どおりに右手から登攀
意外と手ごわくて、ルンゼ状の岩をステミングする感じで登るが、岩がすべすべで登りにく
ここも、あまだいが通ったのか!?
大滝を越えてすぐ右から入ってくる沢がシンセン沢
こちらも事前情報だと、赤いペンキで「シンセン沢」とかいてあるはずだったけど、なかった
ただ、パソコンに穴があくほどシンセン沢の取り着きは調べたので、見覚えのある風景から、ここがシンセン沢だと判断
確かに見過ごしそうなほど、地味な沢だった…
- 07:30
- シンセン沢〜シンセンのコル
シンセン沢を登る
序盤は水のない小さな沢をボルダーのごとく、すいすいと登る
「ここはまだアプローチだ!」
「こんなところで疲れちゃダメだ!」
と心の中で言い聞かせながら、ぜぇぜぇと登る
沢らしい場所から軽い藪の中を越えてると突然前が開ける
そこが、シンセン沢の二股だ
ここも、目をかっぽじって調べてたので、間違いなく二股だと確信できる
別パーティは左股を行く
我々は右股
右股は急な草付ということで…どうなることやら
- 07:50
- シンセン二股〜シンセンのコル
最初は草をよけて岩場を登る
が、どうしても岩場を歩き続けると右股から左に外れていくので、右にトラバースする形でいざ草付きへ突入
「草よ、抜けるな!」
この言葉をどこのブログでもみる…まったく、そのとおりw
できるだけ多くの草を掴んでは(草が足りないときは、追加で草を掴む)全体重を乗っけて登ることのくりかえし
抜ければ、滑り台のように落ちていくので、東尾根は本当にここが核心かもしれない
途中には、頼りきれない残置支点が存在
確保して登るのも1つの方法だと思う
我々は1度、ロープを出した
そのときは、頼りない支点とピナクルでしのいだが、ハーケンとハンマーを個人装備として持って行くことの意味を痛感した
※実際は持って行ったものの、ピナクルの支点が十分であったため利用せず
シンセンのコルはもう見えてる
目視であと30分くらいだろうか
前述したとおり、踏み跡は明瞭
ただし複数の踏み跡があり、どれを歩いても急斜面なので、自身のルーファイを信じで歩くほかない
セルフを取りながら休憩して登攀
草を鷲掴みながら登り続けるが、振り返れば紅葉が真っ赤で絶景を見下ろせる
けど、そんな余裕なし(汗)
今は真っ赤な紅葉よりも、抜けない草の方が大事
おそらく精神の半分くらいは使い切ってシンセンのコルへ到着
コースタイム的には約1時間のようで、奮闘していたわりにはコースタイムに近い時間で登りきれたのでまずはヨシ!
というか、これからが東尾根本番
- 09:10
- シンセンのコル〜第2岩峰
東尾根も踏み跡は明瞭で、基本的には尾根を直登していく
ただ、直登していく…といっても「本当にここいくの?」という場所が多々あるので、やっぱりここがバリエーションルートだと再認識
ロープを出し、スタカットやアンザイレンを駆使して、安全第1で進む
巻くときはだいたいマチガ沢側を歩く
ちゃんと踏み跡もある
けど、決して安全ではない…
第2岩峰(写真撮り忘れた)は、マチガ沢から伸びる凹の部分を登るのだが、チムニーの部分まで少しだけ基部をトラバース
すると数カ所、支点があるので、そこから登攀
ここをフリーで登るのは、ちょいと怖い…が手足はちゃんとあるので、3級を登る感じ
※写真は、第2岩峰の基部あたり
- 10:50
- 第2岩峰〜観倉台
第2岩峰を越えると、しばらくは稜線歩き
少し広いところもあるので、記念撮影
この広いスペースが観倉台なのでは?と思ってしまう罠
稜線歩きとはいえ、滑らせたら危ないところも多いので、アンザイレンで歩く
余裕はないけれども、振り返れば、やぱり紅葉
こんな紅葉を静かに見渡せるのも、バリエーションルートのいいところ
観倉台らしき場所に到着
もう目の前にはオキの耳と第1岩峰が見える
山頂には人だかり
ピークに飛び出て喝采を浴びるためにも、無事に登攀しなければ!と自意識過剰になるのを、パートナーから怒られる
- 12:25
- 観倉台〜第1岩峰〜谷川岳山頂(オキの耳)
観倉台からほどなく歩くと、第1岩峰
ここも3級ほどの登攀のため、支点はある
最後の核心ということで、気合をいれるのだ!
第1岩峰をみあげたとこ
「これはアカンやつや」と言葉が溢れる…
ルート的にはマチガ沢側から巻けるらしいが、せっかくなので直登にチャレンジ
かぶっているものの、新しい支点もあり、スタンスもしっかりと取れるので「勇気」さえあればやっぱり3級
ぜひ、勇気グレードという単位も欲しいところ
意外と強かったのが、第1岩峰を越えたあとのナイフリッジ
左右どちらにもスッパリと切れ落ちていて、なかなか体験できない通過ができる
が、上からは「がんばって〜!」という少年の声に励まされて、歪む顔をがんばって笑顔にして手を振ってみたり
今までに比べたら、簡単な草付きを歩いたら、ひょっこりと山頂に到着!
嬉し恥ずかしな喝采を受けて、無事に東尾根を完登
こんな晴天のときに、念願の東尾根を歩けて本当に感無量だ
- 13:30
- 山頂〜下山
賑わう山頂で、達成感に浸りながらカニパン
パンパンに膨らんだカニパン
登攀道具をしまえば一般登山者
スタスタと西黒尾根を歩いて下山とする
西黒尾根から横目に見える東尾根
もう、言葉が出ないほど美しい
ひとつひとつの、稜線を作る岩場をトレースする形で歩いた思い出に浸りながら下山
せっかくなので、取り着きまで戻って一周しよう!ということで、巌剛新道へ
なにげに鎖場がハード
あと、ぬめぬめ…
もしや!?!?!
と、言いながら下山してたらあっという間に車道へ到着
紅葉ハイクするハイカーも多く、谷川岳は懐の深い山だなーと思う
そんな、谷川岳は一番好きな山
ウッチー
谷川岳を登るたびに「いつかは!」と思い続けてた東尾根。脳内では完登するイメージが出来てたので、絶好の天気を狙ってチャレンジしてきた。当たり前だけど安全を最優先したからこそ登れたものの、それでも多くの課題を残してきた。登山は経験こそが成長につながると思ってる…だからこそ残してきた課題を達成するためにも、安全最優先の登攀スキルをこれからも身につけていきたいと初心に返らせてくれた谷川岳だった。